レヴァークーゼン選手の動きが固いのに比べて、バレンシア選手は実に軽やか。ぴたっと足もとにボールが吸い付き、自らが走る代わりに、ポールを縦横無尽に走らせているという印象。レヴァークーゼンの選手は相手と同じことをやろうとしているのか、ちょこまかと狭いところにボールを通 そうとする。が、似合わないことをしても通じず、すぐまたボールを奪われ……。前半20分を過ぎたところで、 ボールポゼッションは30%対70%と、バレンシアが圧倒的。それでも、ようやくレヴァークーゼンに敵陣に攻め込むチャンスが来た。しかしもたもたしているうちに敵に囲まれ、シュートすら打てない。そしてこぼれ球をジョナスに奪われ、ペナルティエリア前まで独走を許す。フリーになっていたソルダードがシュートした時には「やられた!」と思ったが、運良くポールはゴールポストを直撃。先制点のチャンスを逃したソルダードは頭を抱え、ゴール裏では、ふがいない守備陣にサポーターからブーイングが起こった。
 20分過ぎ、ベンダーがバネガに倒される。すかさずバネガにイエローカード。バラックが審判に短く文句を言いに行く。
 バネガにイエローが出た直後、この日やたらとラフプレーが多かったロルフェスが相手を倒して、イエローを食らう。またもやバラックがしゃしゃり出てきて、手を広げて審判に抗議。相変わらずだなあと思ったその直後、鮮やかなカウンターでゴール前に攻め込まれた。ライナルツがスライディングで止めようとするが、流れたボールは運悪く左サイドのソルダードへ。ソルダードからのパスをジョナスがワンタッチでゴールに蹴り込み、ついに先制点を奪われた。ゴール裏から、「とうとうやられたか…」というため息混じりの声があがる。正直、いつ奪われてもおかしくないゴールだったので驚きはなかった。

 ゲームが再開されてすぐに、苛立っている風のキースリンクがアルベルダを倒してイエローを食らう。数分後、今度はキースリンクがラフプレーで倒される。でもイエローは出ない。またもやバラックが審判に文句を言いに行く。なんというか、本格的に「バラックが帰ってきた」という感慨を覚える。
 その後はレヴァークーゼンがボールを持つも、ボール離れが遅くて攻め込めず、仕方なく自軍ゴール前にバックパス。そのたびに、ゴール裏からブーイングが轟く。
 反撃のチャンスすらつかめないまま、じりじりと時間が過ぎていく。30分を過ぎたあたりから、DFのフリードリッヒがベンチ前でウォーミングアップを開始した。そっちに目を奪われた一瞬の隙に、周囲から悲鳴が上がった。またもやカウンターを食らい、ソルダードにペナルティエリア前からロングシュートを放たれる。だが正面 に構えていたレノがパンチング! 弾かれた球をすかさずエルナンデスがシュートするが、これもパンチングで逃れる。まさに守護神!
 前半ももうすぐ終わりという39分、ようやくレヴァークーゼンがこの試合初のシュートを放つ。打ったのはシュールレ。良くコントロールされたロングシュートはしっかりと枠を捉え、キーパーがかろうじてパンチングして逃れる。この見事なシュートから、それまで仮死状態だったレヴァークーゼンが息を吹き返したように思う。たたみかけるように、コーナーキックをバラックがヘディングシュート。キーパーがとっさに弾いたボールが、目の前にいたキースリンクの膝を直撃。弾かれたボールはあえなくゴール外へ。それでも、枠を捉えたシュートが二回続いたことで、レヴァークーゼンサポーターたちのムードが高まる。さあ、反撃だ!

⇒続く


フリーキックに備え、ゴール前で壁をつくる時も審判に文句を言うバラック。色んな意味で「Ballack is back」!!